2020年1月1日水曜日
2019年2月15日金曜日
【局めぐり記】 香川県の離島局めぐりツアー (前編)
年を越してしまいましたが昨年5月に開催された香川県の離島局めぐりツアーの模様をお送りします。
◆ 今回のツアーの概要
前回に行われた愛媛県の離島ツアーにひきつづき、またもや四国開催となりましたが、香川県の離島群もアクセスが大変なので、1日で一気に回ってしまいたいという思いで企画しました。
今回の集合地は高松で、ここから西に向かって順々にアイランドホッピングをしていき、最後は伊吹島で締めて観音寺で解散という計画です。
計画の詳細な内容については募集時の投稿を見てもらうとして、さっそく当日の模様を書き出してみようと思います。
◆ 8時10分 高松港
開催当日、完璧なくらいの快晴となりました。
高松港は駅から歩いてすぐの所にあって大変便利です。
写真では誰もいないように見えますが、朝の高松港は小豆島や豊島の方からやってくる船が次々と入港してきて、そのたびに通勤客がゾロゾロと出てきたりしてその時だけは活気があります。
こちらはフェリー乗り場の一角にある大島青松園の連絡所。
大島に入島するためにはここで手続きすることになりますが今回は船長の方で事前にネゴが取られているはずなので特に寄る必要ありませんでした。
高松港には定期船が入港する桟橋とは別に、チャーター船が取り付く桟橋が存在しています。
桟橋には船が一隻しか泊まっていなかったため一目で今回の乗る船が分かりました。
今回の参加者は6名で、すでに参加者のほとんどが到着していましたが、1名まだ着いていない人物が・・・
サンライズ瀬戸でやってくるという人がまさかの遅刻!?
しばらく待っていると最後の一人が息を切らしながら到着しました。
聞いたところによると、夜中の沼津駅あたりで非常ベルが鳴らされてしばらく列車が止まっていたようで、岡山駅からはサンライズを乗り捨てて快速に乗ってきたみたいです。
とにかく間に合って良かった。
◆ 8時25分 高松港出発
港を離れるとまず右手に高松城があります。
背後にある建物が大きいせいでミニチュアの城郭にしか見えない。
港を離れると遠くに見えるのは高松駅前のビル群、後にある低い山は五色台。
こういて見ると高松が妙に都会っぽく見えてしまいますね。
平日の朝をこっそり抜け出していくような後ろめたい感覚にテンションがあがります。
船内では船長がコーヒーを人数分用意してくれていたので波しぶきを食らいながら飲み干しました。
これは小豆島からやってくるフェリー
◆ 高松の中心から10分で味わえるワビサビの島 女木島
10分ほど経つとさっそく最初の寄港地の女木島(めぎじま)に到着します。
女木島には通常は めおん号 というフェリーでやってくるわけですが、これだと20分かかるので、今回のチャーター船は2倍の速さでやってきたということになりますね。
軽く女木島について紹介しておくと、島の人口は168人、世帯数は107世帯で、島の面積からするとかなり少ない印象があります。島の山の頂上付近に洞窟があって、それが鬼の居城だったということで鬼ヶ島という扱いがされています。もちろんその鬼ヶ島というのも観光のための触れ込みではありますが、高松から20分海を渡っただけでこの独特の離島感を味わえるというのは貴重ではないでしょうか。
島に着いていきなり目に入ってくるボロボロの桟橋。
ここがすでに異界であることを教えてくれる。
この島の集落を囲っている石垣みたいな物は「オーテ」と呼ぶそうで。
沖縄の離島とかに行くとよく見かけるやつですが、この辺りでは珍しいと思います。
港の待合所になっているのは 「おにの館」 という角が何本か突き出たエキセントリックな建物。
そして、少し進めばなぜか何の説明もなくモアイ像が登場する。
船着き場から数歩進むだけでこれだけの異界アイテムが見られる女木島はとても楽しい。
ちなみにこのモアイ像は単に面白そうだから建ててみたというシロモノではなくて、県内のクレーン会社がイースター島の倒れたモアイ像を建て直すプロジェクトに参入するときに、像を立てる練習のために用意した試験用の石像なんだそうで、用済みになったあとここに運ばれて余生を送っているとのこと。
さっそく集落内に入っていきます。
さっき見たオーテの切れ目みたいな所から進入できます。
集落内の道は軽トラが通れるくらいの広さになっているので、中に入ってみると離島というより、単なる農村の一角みたいになります。
まだ5月なので海開きがされていませんが、夏になると海水浴客も来るようで、砂浜には海の家なんかがありました。
しばらく歩いたらあっという間につきました。
本日の一局目、女木島郵便局です。
10分くらい早くついてしまったのでどうにもなりません。一同、局前をウロウロしながら時間つぶし。
これは郵便局の右隣の建物に付けられていた錆だらけの定額貯金の看板
郵便局のすぐ近くに観光協会の事務所があります。
事務所というか、ただの個人宅のようにも見えますが。
名前がついているのかわかりませんが、鬼のキャラクターかわいいです。
「伝説の」 というのはつまり桃太郎伝説でおなじみの鬼ヶ島といったところでしょう。
開局まで時間があるので、ここにちょっと寄りました。中は本当に観光協会の事務所になっていて、女性が一人で何かされていました。
この方は岡山からはるばる移住してきた人みたいですが、いきなり押しかけてきたにもかかわらずいろいろと教えてくれました。
高松市のうどん屋マップというのがあって、それをもらうついでにオススメのうどん屋を聞いたところ、高松駅前にあるメリケン亭という店を教えてもらいましたが、ここは実際にこの日の夕食に寄ることになりました。いろいろ情報ありがどうございました。
そうこうしているうちに9時になったので入店。
本日の一局目、女木島郵便局。
局員の方々は本土から通いで来ているらしいのですが、夕方は17時20分のフェリーを逃すと帰れなくなってしまうので、17時に局を閉めたらさっさと終了作業して出ないと間に合わないというタイトな日々を送っているようです。
桟橋のある所まで戻りました
このバスは島の頂上にある洞窟に行くための観光バスです。
実は運賃800円もするらしいです。高いですね~。だって高松から女木島に来るフェリーが370円なんだから余計にそう感じますが、ケチってレンタサイクルにすると大変苦労することになると思います。
この観光バス、後ろから見るとやばいくらい錆びてます。
相当な年代物の車輌であることはわかるけども、今時ここまでサビてる車輌なんて滅多に見ないもんだからちょっとワクワクしますね・・・ 皆さんはワクワクしませんか?
さっき、800円は高いとか書きましたが、このボロボロの車輌に乗れるのなら安いと思いますよ。
ちなみに今回は郵便局目当てだったので全く行く気はないですが、洞窟とバスのことについて知りたい方は次の記事などを参考にしてみて下さい。
【参考】錆びたバスで向かう女木島の大洞窟
https://trip-setouchi.com/blog/island/megijima-cave
【参考】15分で見れる!女木島の鬼ヶ島大洞窟に行ってきた感想と写真まとめ
http://guesthouse-hostel.com/megijima-onigashima-dokutsu/
とりあえず用事が済んだので女木島を出港。
なんだか最後までサビだらけの味わいある島であった。
◆ 2島目は猫とアートの島 男木島
つづいては女木島の北にある男木島 (おぎじま) へ。
女木島からは10分ほどで到着。ここもフェリーだと20分かかりますが、女木島に比べるとフェリーの本数が半分になってしまうので訪問が大変面倒な離島です。
さっきの女木島とは雌雄の関係にあるらしく何かとワンセットにされがちですが、島の雰囲気などは全く異なっていて違った景色を楽しむことが出来ます。あと猫のいっぱいいる島として有名。
島に近づいてみてまず感じるのはけっこう家が多いということ。
この山の麓にびっちりと並んだ民家が賑やかな印象を与えてくれますが、実はここで見えてる家々こそがこの島のすべての民家だと言っても間違いではない。
人口は163人、世帯は107で女木島とほぼ同じなのに家の密集度が高いとけっこう賑やかに見えてしまうという、離島でよくある錯覚です。
男木島簡易郵便局は開局が9時30分で、少し時間があるので先に移転前の郵便局を見に行きました。
船着き場の正面にある壁のような斜面を登っていくと坂の途中に残っています。
それもそのはず、郵便局が移転したのは4月2日。まだ一ヶ月ちょっとしか経っていないのです。
これが局舎入り口側に回り込んで撮った写真。
道があまりに狭すぎてこれ以上広角のアングルでは撮れません。
それにしても凄い所に建っている郵便局です。局内からは港が一望できるオーシャンビューだったはずですが、さすがに手狭だったのか港の近くに引っ越してしまいました。
ちなみに2016年まで直営局で、この入口の手前のごくわずかなスペースにATM小屋が設けられていたらしいです。
島内の道路はだいたいこんな狭さで迷路のように張り巡らされています。
そして芸術祭があったからか、建物にペインティングがされていてオシャレだったりします。
さらに、港を郵便局の方に向かっていくとあるのがこのオシャレな建物。
2010年の芸術祭の時にスペインのアーティストにより建てられた交流館の建物で作品名はなんと 『男木島の魂』
建物の屋根は近づいてみると単なるデザインとかではなくて、文字そのものであることがわかります。何が書いてあるのかよく分かりませんが、8つの言語が混在しているらしいです。
まさにインスタ映えなスポットではないですか?
しかもこれは喫茶店とかじゃないですから、中にタダで入れますよ。
こういった遊び感覚のあるアート作品がある一方で、景観は極めて土着的で、その中をノラ猫がうろうろしているという楽しい島です。
【参考】 猫好きにはパラダイス!2時間でまわる男木島観光ガイドと写真まとめ
http://guesthouse-hostel.com/ogijima-sightseeing/
9時半を過ぎたので郵便局へ行きます。
本日の2局目、男木島簡易郵便局。
建物の基礎がやや高い位置にあるので入口に狭いスロープがついています。局内はけっこう狭いので6人も入ったらむさくるしいのなんの...けれどもATMは引き続き設置されているので便利です。
引っ越したばかりで郵便局がどこにあるのか不確定でしたが、さっきのオシャレな交流館から見えるくらいの位置にありますので迷うことはないかと思います。
9時45分頃、男木島出港。
猫の島とはいうけれど、結局ネコは一匹も見かけなかった。
瀬戸内海のある島で聞いた話だけども、男木島は増え続ける猫にとうとう音を上げて、2016年から島じゅうにいる猫を一匹ずつ捕まえて去勢手術するようにしたそうです。
猫というのは野良の場合は5年くらいしか寿命が持たないので、2021年になった頃には島の猫はほぼ寿命を満了してほとんど生存しなくなるのではないかと思われるので、気になる方は早い目に行った方がいいと思います。
ちなみに同じように猫の島で有名な愛媛県の青島も同様の処置がされた模様。
あと残るは佐柳島ですが、ここは特にやるつもりはないと聞いているのでしばらくは増え続けると思いますが、それもいつまで持つかというところでしょう。
男木島の遠景
◆ 浄土感あふれる白砂青松の島 大島
また10分ほど航行して、今度は大島という島に到着。
ここは、高松港の時に触れた通り、入島許可をもらって入ることになっている特殊な島です。
島全体が大島青松園という施設の敷地になっているためで、一般の住民というのは住んでいませんが、施設案内に入所者が56名とあるので、 その人たちと職員の一部だけが島民ということになります。
大島の港には桟橋というものがなくて、防波堤に横付けする形となります。
港に着いたときにすでに船が泊まってましたが、この船が海賊船みたいな黒い船ですごく怪しい。
結局、この船が何だったのか最後まで謎でしたが、写真を拡大してみると背後に 「BARCA SOLARE」 と書かれていて調べてみたら高松港あたりで運行されているチャーター船のようでした。
あまりに怪しすぎる見た目ですが、これ、ヤノベケンジデザインらしいですわ。
防波堤に船を横付けするもののボラード (港にある例のフックみたいなやつ) がないのでロープで引っ張ってもらい上陸。左に居るのは今回のチャーター船の船長さんです。
これが大島への定期船として利用されている船です。正式には官有船と言うみたいです。
船体には「せいしょう」と書いてありますが、船名はどうやら「まつかぜ」 と言うらしい。
島に着くなり素晴らしい砂浜が拡がっています。白砂青松とはまさにこのこと。
海水浴場になってもおかしくないですが、島の性質上、海水浴でやってくるような人はおりません。
船に乗るのに許可制になってる時点でかなり閉鎖的な島だということがわかると思いますが、この青松園というところはハンセン病のいわゆる隔離施設として建てられた歴史のあるところで、近くで言えば岡山の瀬戸内市にある長島と同じような性格を持っています。
かつては感染が恐れられていたのでこういう離島に施設を作ったんですね。しかし現代ではその恐れがないということがわかったので、一般人でも立ち入ることができるようになっています。
郵便局に行くという目的でも渡島できますし、最近では瀬戸内芸術祭の舞台のひとつにもなったので、このときは一般観光客がどっと押し寄せて船がパンクしたらしく、乗船のための整理券が配られたりしたそうです。
島内の入口にはこれと言って大きな門も塀もなく、自然と施設の敷地内になだれこむようになっていました。
そしてこのように美しい松林が展開されていて、園内には優雅に散歩している入所者や、地面をでっかいブロワーみたいなもので掃除をしている職員などがいらっしゃいました。
海の青さといい、のんびりした園内といいまるで天国のような空間です。
園内の至る所、スピーカーからほのぼのとした音楽が流れていて、それとなく浄土感を醸し出す演出がされておりまして、平日の遊園地さながらのレイドバックした空間となっています。
園内をしばらく進むと本日の3局目、千歳簡易郵便局に到着。
建物は大きいのに局内はけっこう狭くて6人全員は入れません。
ここは10時開局なのですが、おそらく職員の方が島外から通っているからで、朝9:10発の船でやってくると局長さんと一緒に上陸することになるだろうと思います。
さらに、局自体は16時までやってますが、貯金は15時で締めてしまうので、貯金窓口の営業は実質5時間しかやっていないことになります。訪問を計画する時は気をつけた方がいいです。
【参考】 官有船の乗船案内
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/hansen/osima/shiptime.html
ちなみに我々が着いたときに先客がいらっしゃいました。
職員を入れても100人もいないような島の郵便局でもそれなりに需要はあるようです。
あと、同業者の訪問もぼちぼちあるようで、局内に簡易局をまとめた同人誌が置かれていました。これは作者本人が送ったものではなくて、知多半島在住の某氏による寄贈らしいです (有名な方らしいのですが、私は存じ上げませんでした...)
ちなみに千歳という局名にどんな由来があるのかよくわかりませんが、ハンセン病施設にある郵便局はだいたい地名とは関係のない局名が付けられていて、おそらく所在を伏せておくという意味があるのだと思います。たとえば岡山の長島の場合は木尾とか日出みたいな地名でもないし、何なのかよくわからない局名が付いています。もっとも草津栗生や済井出みたいに地名そのものになっているものもありますが、局名を見ただけでは施設内にあるとはわからないので実際に行ってみてピックリということもあります。
10時20分すぎに大島出港。
ここから次の島までは30キロ近くに及ぶ航海となります。
40分ほど海上を進むとようやく見えてくる瀬戸大橋。
今回の船は2階建てになっていて、2階にはカップルシートと操縦席があった。
つまり操縦席が上下に2つあって、どちらでも動かすことが出来るという仕様。
◆ 手を伸ばせば岡山県に届く!? 大橋直下の櫃石島
11時10分 本日の4島目、櫃石島 (ひついしじま)に到着。
この島は瀬戸大橋の真下にある島で、人口236人、漁業を主産業としたとても小さな島です。
一般にはバスでしか行くことのできない島です。もちろん定期船ももう出ていませんから、船で行くということはまず考えられないのですが、今回のツアーはチャーター船なので与島も含めて船で上陸する事が出来ました。
船着き場はこんな感じです。
港から狭い路地を抜けるとありました。本日の4局目、櫃石簡易郵便局。
とてもとても小さい局舎で3人入るとギチギチになります。
この手の奥行きの浅い郵便局というと和歌山の皆地簡易郵便局あたりを思い起こさせます。
局前の道路はこんな感じでとっても狭いが離島情緒はあふれている。
原付に取り付けられた坂出のご当地ナンバー
あまりに岡山に近いので岡山県かと思いがちですが、ここは香川県坂出市です。
岡山県はすぐ目の前にありますが、こちらは香川県。
とは言っても、江戸時代はこの辺の島は倉敷代官所の管轄だったらしいので、
今でも岡山との繋がりが濃いのかもしれません。
港にはタバコ屋のような商店があってちょっとした食料を補給できます。
島内にはけっこう車がとまっているし、Googlemapのストリートビューが入っているけども、実際は島民以外はインターを下りることはできないことになっています。
ただ、タクシーとかは入島できるという話もあるので、船をチャーターするよりそっちの方が安くこれるはずです。あとは、裏技みたいなアレですが、インターを下りて入島ゲートに着く手前にスペースがあるのでここに車を駐めて行ったとかいう大胆な人もいたようです。(真似しないでください...)
用事も済んだので次の島へと向かいます。
ちなみに今回チャーターした船舶の前面を写した写真、これしかありませんでした。
忽那諸島で乗った船と同じくらいの大きさですが、2階席がある分、乗れる人数が多いような気がします。
(後編に続く)
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