2017年4月5日水曜日

【局めぐり記】 小豆島と豊島の旅


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日時 : 2017年3月6日
天気 : 曇りのち晴れ

瀬戸内海の東に浮かぶ子犬のような離島、小豆島 (しょうどしま)
以前からずっと行きたいと思っていましたが、なかなか機会がありませんでした。

最初に行こうと思ったのは2012年の夏だったと思いますが、夜中の3時に日生 (ひなせ) 港のターミナルまでやって来て、さぁ、あとは7:30発のフェリーに乗り込むだけだと思って、ネットを見ながら時間を潰していたところ、他社と比較したときの航送料金が高いということが判明し、やる気を一気に無くしてしまったので、小豆島行きを断念して岡山県内の郵便局めぐりに急遽変更したということがありました。

日生から小豆島の大部 (おおべ) に渡る瀬戸内観光汽船のルートは本土からの距離は最短となりますが、航送料金で見た場合、三宮港から出ているジャンボフェリーの方が安くなるのです。
たとえば旅客2等なら瀬戸内が1960円、ジャンボは1990円で、ジャンボのほうが微妙に高いのですが、車輌5M未満では前者7280円、後者5990円となり、ジャンボの方が断然安い。しかもジャンボは6Mまでならどれでも同じ料金なのでデカい車は断然こちらの方がオトクなのです。
さらに三宮からなので長距離になりますが、深夜便に乗れば一晩越せるので仕事帰りに乗り込んで一泊して小豆島を回るという弾丸ツアーも敢行できます。

ちなみに、姫路から福田に渡る小豆島フェリーというのもありますが、5M未満9230円という高料金なのでお話になりません、でも旅客運賃は1520円と安いので、車がないならこちらを選ぶというのもアリです。

そんなわけで、今回はもちろんジャンボフェリーにお世話になるのですが、深夜便は深夜料金になって上記の値段より少し高い6290円となることと、小豆島から高松に渡ることも考えてマイカースルーきっぷを使うことにしました。

マイカースルーきっぷは普通車一台9980円で、燃料サーチャージがついて10280円。
小豆島から高松へはジャンボと内海フェリーの2種類の中から選択できておトク・・・どのくらいおトクになるかというと、神戸~坂手 6290円 と坂手~高松が 4990円 で合計で11280円 (サーチャージ無し)
マイカースルーきっぷは9980円なので1300円おトクですね・・!

あるいは内海フェリーを使った場合は 6290 + 6210 = 12500 で 2520円おトクになります。

実はマイカースルーきっぷにはもう一つ利点があって、2本目のフェリーに乗るときに乗船手続きをする必要がありません。出航ギリギリで乗り込んでもセーフ。窓口の人に怒られることはありませんからギリギリまで小豆島を楽しんでいただけます。

さて、航送料金の話はこのくらいにして、郵便局めぐりの話を始めたいと思います。




三宮港 深夜1時

出航の1時間前に到着して待機場所で待つこと1時間・・・
1時出航というのに1時にならないと船内に入れてくれないなら早くから待ってる必要なんてあるのかよと思いました。

船内はごらんの通りガラガラで、なぜ待たされていたのかよく分かりません。
こっちは早く船内に入って眠りにつきたいのに。


さらば神戸。さらば六甲アイランド・・・。
車輌の数が少ないのでどうかと思いましたが、船内にはそれなりに乗客がいらっしゃいました。
みなさん思い思いの場所で寝床を拡げていて、ゲーセンの一角で寝ている玄人もいらっしゃいました。


翌日7:30 坂手港着
フェリーは神戸から小豆島まで3時間で来れますが、深夜便は途中で遠回りして高松に寄るのでこの時間になります。   
朝5時頃に高松着岸のアナウンスが高らかに船内に響きわたるため、静かな眠りは保証されません。

さて、坂手は島の東の方にありますが、今回は三都郵便局をスタートにするので少し移動します。
今回のプランは、ざっと以下のように計画しました。

まず、小豆島内の郵便局だけでは時間が余るので、豊島 (てしま) もついでに回れないかと考えた結果、土庄港から10時30分に出る船で豊島に向かえば、郵便局に寄って土庄まで戻ってきた時点で12時39分なので、残り時間で小豆島内を十分に回りきれると考えました。

豊島の往復に費やす時間を2時間半と見ると、残りの4時間半で14局。
1局あたり20分になるので、別に無理な話ではありません。
このことに最近ようやく気づいたので、さっそく小豆島に行こうと決まりました。

行く途中にちょっと寄り道。丘を少し登ったところにあるオリーブ公園のオリーブ色ポストです。
これは飾り物ではなくてちゃんと稼働しているポストです。
小豆島はオリーブの栽培が盛んなのでちょっとした地中海風土を味わえますが、真冬のような気温とどんよりと曇った空のせいでちょっと気分が晴れません。

オリーブ公園より南の方向をのぞむ

1局目は島の真ん中から突出している半島部、犬の前足みたいな所にある三都 (みと) 郵便局からスタート。
蒲野という地区にあるので、蒲野郵便局と言うのかと思いきや三都というよく分からない名前ですが、明治時代にこの辺の3つの村を合併してできた三都村に由来するようです。

それにしても静かな海辺。
人もいないし車も通らないような寂しい入江です。

2局目 池田郵便局
オリーブ色の外壁がまぶしい集配局。
駐車場が離れた所にあるみたいですが、みなさん道路にガンガン駐めています。

3局目 双子浦簡易郵便局
以前はもう少し東の坂の途中にあったそうですが、今は跡形もなくっていて、道路の拡幅工事中でした。
移転した先は国道沿いの自動車修理工場の一角。
局舎の横手にミニカーが駐まっていて、ちゃんとナンバープレートがついているので局員さんが出勤に使っているものではないかと思います。

4局目 小豆島の西海岸にある四海(しかい)郵便局は海の真横。
局名は明治時代に4つの村が合併してできた四海村に由来します。
古い郵便局舎が残っていないか訊きましたら、局長さんが懇切丁寧に説明してくださいました。
前の郵便局はもっと北の集落の奥にあったようです。さっそく行ってみましょう。


酒屋の角を右に曲がり、狭い道路を進むと2階建ての局舎が現れました。
この建物で昭和の最後くらいまではがんばっていたようです。

ちなみに、四海の沖には沖の島という小島が浮かんでいて、たった100円で渡ることができるようです。特に時刻表も決められて無くて、波止場で立ってれば船頭さんが迎えに来てくれるという、なんとものんびりしたシステム。時間に余裕があったら行ってみたかったですね。

四海地区周辺の図


5局目 土庄 (とのしょう) 郵便局
島の中では一番大きな郵便局で、この辺りが島の一番の繁華街になります。
郵便局の回りが覆いで囲われていて、改修工事をしているように見えますが、これは瀬戸内芸術祭のときに局の壁面に展示物を貼り付けていたのを、会期の終わりとともに撤収するためのようでした。

郵便局の真横にあるのは世界一せまいという土渕海峡
海峡というか、何というか、どぶ川ですよこれは
海峡は船舶の通過ができないと意味ありませんから、実はけっこう水深があるのかもしれません。

さて、ここで10時10分を過ぎたので、オリーブの島局はパスして土庄港に向かいます。


土庄港は宇野方面、高松方面の客船がやってくる大きな港で、行き先や乗る船の種類によって乗り場が全然ちがうというややこしい港です。
駐車場は西の方に広いのが用意してあって、5時間200円で駐められます。
それは別にいいのですが、いざ港の方に行ってみると、これから乗ろうとしている豊島行きの船がどこから出るのか、切符をどこで買えばいいのかさっぱり分からない。
駐車場近くにある丸い建物は高松行きの切符売り場で、豊島方面の旅客船は敷地の東の方までいかないといけないと知って大慌て。時間に余裕をもってやってきたのは正解でした。

豊島行きの船は便によってフェリーの場合もあるので、その場合はもう少し中央あたりの乗り場から出ます。

無事に10時30分発の船に乗れました。
行きはフェリーではなくて旅客船です。車は乗せられません。
フェリーと客船は乗り場と車輌の搭載が違うだけで、料金や寄港地にたいした違いはありませんが、スピードは客船の方が速いです。

途中、唐櫃港に寄ってから、11時5分 家浦港着。
ここが豊島(てしま)郵便局への最寄りとなる港になります。

http://postal.kiramori.net/routemaker_map.php?id=20&zoom=16&nl=34.48717986954524&el=134.06196515142918
豊島・家浦港周辺の図


港には特にこれと行ったものはなく、トボトボと郵便局への道を歩き出すとこのように心細くなるような光景が現れます。

なんというか、観光地感ゼロ。離島感もゼロ。
目の前にはオリーブ畑があって、PEACEという名前のお好み焼き屋の案内板が立っています。
お昼近いので腹が減ってきましたが、残念ながらPEACEさんは定休日でもないのに開いておりませんでした
家浦の近辺でこれ以外に食事できそうなのは港にある鄙びた喫茶店だけなので惜しい。

本日の6局目 豊島郵便局到着
回りには小学校があるくらいで、あとは田圃が広がっていました。
局内も静まりかえっていて、なんだか気の毒なくらいです。

貯金を済まして局の裏手を散歩していると旧局舎発見。
郵便局の女性局員に旧局舎が遺ってないか訊いたときは、そんなものはないという回答でしたが・・・・現局の真後ろにありますよ・・・しっかりしてください。


港に戻ってみたものの、次の船までまだ時間があるので西の集落を散策。
この辺で唯一まともに営業しているお店を発見。その名も岡田商店。


入口から見える店内の様子がすでに混沌としていて、さながらキオスクを思わせる商品点数の多さが特徴的。奥にはおばあさんが店番をしていて、店内の各所に古い什器類や在庫品が積み重ねられている。

かつてこういうお店がどんな田舎にもあった気がするのに、ほとんどが消えて無くなりました。
離島にはまだこういうお店が現役であったりするので感動します。

アイスクリームの冷蔵庫の上に糸こんにゃく、お好み焼き、キュウリのキューちゃん
そして、謎のうずまき状の手書きパネル。



店内の情報量が多すぎてめまいがしそうでしたね。
とりあえず、食料が欲しかったので菓子パン2個買いました。

これは渕崎製パンという土庄の会社が製造しているパンです。
小豆島だけでなく豊島でも売っているようですが、さすがにそれ以外では手に入らないと思います。
全国の零細パンを収集している数奇者も世の中にはいるらしいですが、離島までやってきて味わうのなら地元のパンに限ります。

家浦のフェリーターミナルに戻ります。
上陸したときは気づきませんでしたが、港にはレンタサイクル屋や小ジャレた土産物屋なんかがありました。
私が中学生くらいの頃にテレビに出てきた豊島というのは産業廃棄物に汚染された不憫な島というものでしたが、あれから年月が経って、産廃問題を解決した豊島は、今や瀬戸内の離島ツーリズムの拠点となっているようです。

貸し出してくれるらしいバイク。なぜかオラクル社のロゴが


11時50分発のフェリーがやってまいりました。


さらば豊島

土庄港に到着するのは12時39分。
港の中につくなり、いきなり大回転を始めて、近くに停泊していたデカい観光船に接触するだろうというぐらいの大胆な間合いで交わしながら、なんとか接岸しました。


7局目 オリーブの島郵便局
1987年までは吉ヶ浦という名前の郵便局でした。
駐車場は局の向いの月極に2台ほど用意されています。
窓口に郵便局の新築記念の時のスタンプが設置されていますがけっこう摩耗が激しいです。

ここから町を離れて島の北側を目指します。

8局目 大鐸(おおぬで)郵便局
局名が難読すぎて分かる人にしかわかりません。
島の北側へ向かう道路の脇からそれて少し進むとある小さな集落の郵便局です。
次の北浦に向かうには来た道を戻る方法もありますが、ここはあえて局前を北へ進み、畑の中を通り抜けてショートカットします。

9局目 北浦郵便局
局の壁面に掲げられた風景入通信日付印 (風景印の正式名称) の看板があまりにレトロすぎる。
この郵便局は 『ぼくとママの黄色い自転車』という映画のロケ地になったらしく、局員さんからチラシを渡されました。

映画のロケ地になったという自慢話を聞いたのは有穂簡易局以来、2度目です。



大部局から福田に向かう道中にあるワイルドな光景。
この辺は採石場になっていて、山を削り取った跡が目の前に広がっています。

11局目 福田郵便局
姫路からやってくるフェリーは福田港を玄関にしています。
局舎の後ろには海が広がっていて、なんともいえないマッタリとした雰囲気。
ここで、局長さんより近くの神社の奥に旧郵便局舎があることを教えてもらいました。

神社の敷地をつっきって行くと、小川の流れる空間に旧局舎がありました。
芸術祭の期間中は展示室として上がることもできたらしいですが、今は静かになっています。
背後にある体育館は、廃校になった福田小学校の体育館で、今は進研ゼミのベネッセが所有しているアートスペース 「福武ハウス」 になっています。

近くの神社の敷地の一角にはとろけるチーズみたいな奇妙な構造物が
アートらしいのですが、何の説明も見当たりません。

12局目 苗羽(のうま)郵便局
難読で珍しい響きの地名

13局目 坂手郵便局

ここはちょうど今朝に島に上陸した港です。ようやく島を一周してきたことになります。
局前には丸ポストが置かれていますが、これは単なる飾り物で、本当のポストは左にあるやつです。
丸ポストの横に立てられた看板によりますと 『二十四の瞳』 の作者の壺井栄は作家になる前にこの郵便局の職員として働いていた時期があったようです。
恥ずかしながら、私は壺井栄のことを男性の作家だと勘違いしていたのですが、この方は女性です。
どうやらアナーキストの大杉栄 (男性) と混同していたみたいで、どちらも香川県出身だというところも混乱の元だったようです。

坂手の町をさらに西へと進んでいくと二十四の瞳映画村というレトロな校舎があるのですが、今回は行ってるヒマがないのでパスします。
そのほか、この辺の地区は醤油蔵がいっぱい建っていて、見学ができるところも多くあります。小豆島というところは昔から醤油の産地で、島内至る所に醤油蔵があって、島内に22社もあるそうです。

15局目 草壁郵便局
ここで最後となります。この郵便局はなかなか変なところにあって、小学校の隣にあるせまい路地を入っていくとあります。表通りに看板が立っていないとまず通り過ぎてしまうと思います。

さて、ここで15時17分。かなり余裕のある形で小豆島めぐりを完了。
途中で寄り道をかなりしているので、実は3時間半くらいあれば小豆島は制覇できるのではないかと思いました。
島の北東部分は局間距離が非常に長いのですが、道路も空いているので軽快なドライブとともに郵便局を回ることができます。逆に島の南部は交通量が多くてのんびりとしています。

さて、ここで郵便局の時間もおわったので小豆島の散策に出かけても良いのですが、4時過ぎの船に乗って高松に向かえば高松中央郵便局に行けるので、さっそく高松へと向かうことにしました。
最初にも書いたように、今回使ったマイカースルー切符は高松方面のルートを2つの中から選べます。坂手港から出るジャンボフェリーと、草壁港から出る内海(うちのみ)フェリーです。

4時過ぎの船は草壁港からなので、さっそく港まで出て行き船の出航を待つことにしました。

ブルーラインという船が港に泊まっていたので、これに乗り込むのかと思いながら写真を撮っていると、係員さんがやってきて曰く、違う船がやってくるので一旦沖に出すので、ちょっと出航時間が遅れるからとの通達が。

しばらくしてやってきた同じような船は、数台のトラックを載せただけでまた沖合へ消えていきました。結局この船に乗り込むことができたのは16時20分くらいとなりました。

さらば小豆島。さらば草壁港。

このフェリーは階段を登ると屋外ガーデンがあったりしてけっこう開放的。
船内もけっこう豪華にソファーがあったりするので、横になって眠ることができました。
あと、学生のためのか図書館の学習スペースみたいなものもあって電源を使うことができます。
こんなに至りに尽くせりな船なのに乗客はあまりいません。
車の中で待機していても何も言われないので、車の中で寝ている人も多くいましたね。
高松までは1時間。気がついたら着いておりました。

 本日、打ち止めの16局目 高松中央郵便局
中央郵便局は数あれど、ここはちょっと狭いような気がします。
駐車場は有料ですが、15分程度ならとめていても金は取られません。

ということで1日目の行程は無事終了。

通帳画像
だいたいの郵便局の頭には小豆島の文字が入る

今回は寄り道が多いのであまり参考にならないかもしれない所要時間


以下、道中で撮ったどうでもいい写真達

年代物のセドリック V20ターボ ブロアム (土庄港)
あなたの町のミキマウス (土庄本町)
オリーブしまちゃん (草壁・星城小学校前)

味のある案内板 (草壁港)


矢印みたいな便所 (草壁港)
レトロ壁面 (福田)

翌日の徳島に続く

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